【大会レポート】JDSF Official Cup Round 2 in OITA(Youth Class)
大会レポート
2023.8.4
日本ドローンサッカー連盟の淡路です、こんにちは。
7月23日、ドローンサッカー定期公式大会「JDSF Official Cup Round 2 in OITA(Youth Class)」を開催しました。
参加したのは8チーム。トーナメントで決勝まで進んだ2チーム+敗者復活戦から勝ち上がった1チームの計3チームによるファイナルリーグ(総当たり戦)で優勝を目指す戦いです。
今大会、JKDという新しいチームが参加してくださいました。こちら、情報科学高校ドローンサッカー部の新入部員中心に構成したチームだそうです。なんでも今年情報科学高校の部活では野球部に次いで2番目に新入部員が多かったそうです。すごいぞ、ドローンサッカー部。
この8チームでくじ引きによる組み合わせ抽選で対戦相手が決定したのですが、すごい偶然が起こりました。
情報科学高校ドローンサッカー部と、今年の新入部員中心で結成された新チーム・JKDが、そしてドローンムーブ天草と、ドローンムーブ天草ジュニアがそれぞれ1回戦で対戦することになったのです。同門対決ががふたつ。こんなことあるんですかね?一切操作していませんよ?
試合数が多いので、特に印象に残った試合をピックアップしました。
【1回戦】
SDA RISE vs TEAM MEIHO
岐阜支部所属のSDA RISE。大分大会のClass20は初参戦です。一方のTEAM MEIHOは地元別府市の大分明豊高校のドローンサッカーチームです。TEAM MEIHOは第1セットをドローに持ち込む健闘を見せました。第2、第3セットはSDA RISEの固い3枚のディフェンスでMEIHOの追い上げを振り切って勝利を挙げました。
前回大会では1勝も挙げられなかったTEAM MEIHO、今大会も1回戦突破は叶いませんでしたが前回大会終了後、「次回は優勝したいです」と宣言したとおり、大きく成長した試合を見せてくれました。
【1回戦】
きっとすき vs DRONE SETOBARA
大分のドローンサッカー界最古参チーム・きっとすき。対するDRONE SETOBARAは昨年1試合に出場して以来の公式戦です。きっとすきが経験の差を見せつけた試合となりました。相手へのプレッシャーの掛け方、コンスタントかつリズミカルに得点を重ねるストライカー。DRONE SETOBARAも序盤はよくディフェンスしていましたが、隙間を突くきっとすきの攻撃に大差をつけられ、第1セット11‐4、第2セット13‐3できっとすきが勝利を挙げました。
【1回戦】
情報科学高校ドローンサッカー部 vs JKD
公式戦初参戦のJKDにとって、最初に同門の先輩チームと対戦するとは思ってもいなかったことでしょう。ところがこのJKDが大善戦。第1セットを8-8のドローに持ち込みます。そして第2セットは先輩の意地を見せた情科ドローンサッカー部が13-8。セットカウント1勝1分けで先輩チームが王手をかけました。そして第3セットは終始JKDがリードする展開に。もし第3セットをJKDが取れば、1勝1敗1分けで3セットの総得点で試合が決します。同点の場合はエクストラセットで1点取ったほうが勝ちのサドンデスになります。JKD11-6でリード。この時点で総得点で並んでいます。サドンデスが頭をよぎった試合終了10秒前、情科ドローンサッカー部が得点を挙げ、このセットを7-11で落としたものの総得点28-27で薄氷の勝利となりました。
【2回戦】
きっとすき vs SDA RISE
すごい接戦となりました。第1セットは両チームともディフェンスがしっかり機能し、膠着状態が続きましたが第1セット終了残り30秒できっとすきが一気に畳みかけて9-6で先取。第2セットは第1セットと同じような展開になりましたが、SDA RISEが10‐7で第2セットを取りました。この時点で総得点で並びます。第3セットも大接戦となりましたが、最後にきっとすきがベテランらしさ・試合巧者ぶりを発揮し、10‐8で勝利を収めファイナルリーグ戦に進出しました。
【2回戦】
情報科学高校ドローンサッカー部 vs ドローンムーブ天草
前日のAdvanced Classで優勝したドローンムーブ天草とこちらも優勝経験のある情報科学高校ドローンサッカー部。情科は3人の3年生がこの大会をもって引退します。早すぎる強豪同士の対戦。勝った方がファイナルリーグ進出です。
第1セットは互角の試合展開。手に汗握る試合となりました。残り1分まで8‐8の対スコアで試合が進みましたが、そこからドローンムーブ天草が2点を勝ち越して10-8で天草が先取しました。第2セットもお互い全く譲らないシーソーゲームとなりました。第2セット終了30秒前まで9‐9。どっちが勝ってもおかしくない展開でしたが、最後の最後に天草が頭ひとつ抜け出し12‐9で第2セットも奪取。勝利を挙げファイナルリーグへの進出を決めました。
情報科学高校ドローンサッカー部は選手層の厚いチームですが、この試合に3年生全員が出場。ドローンサッカーに懸けた部活生活に別れを告げました。
チームメイトを労う山口キャプテン
対戦相手への敬意も忘れない山口キャプテン
その光景に思わず涙声になるMC赤松氏
ファイナルリーグに進出する2チームは「きっとすき」と「ドローンムーブ天草」に決まりました。あと1チームは敗者復活戦を勝ち抜いた「JKD」に決まりました。初めての公式戦で快挙です。この3チームで総当たり戦を行い、順位を決します。
【ファイナルリーグ】
きっとすき vs ドローンムーブ天草
第1セット、白熱した接戦となりました。途中最大2点差しかつかない、常に抜きつ抜かれつの戦いです。結局第1セットは11-11のドロー。手に汗握る一戦になる予感でしたが、第2セット第3セットは意外にも点差がつきました。3機の天草のディフェンス陣、タイトな三角形を形成することでゴール前をがっちり堅守。きっとすきの技巧派・佐藤選手の攻撃を寄せ付けず、第2セット15-6、第3セット14-6でドローンムーブが1勝をあげました。
ドローンムーブ天草 vs JKD
途中までは互角の戦いに見えました。しかしながら天草のストライカー・オカピー&ヤマピーコンビの多彩なフォーメーションにJKDはついて行けず。第1セット18-7、第2セット15-4でドローンムーブ天草が完勝で2勝目をあげました。この時点で天草の優勝が決まりました。
きっとすき vs JKD
第1セット、途中までJKDがリードする展開に。しかしながらきっとすきは冷静に対処し、後半逆転しそのまま逃げ切り。6-5で第1セットを先取しました。第2セットは壮絶でした。最後の10秒まで追いつき、追いこし、追いつき、追い越されの繰り返し。最終的に12-12でドローとなりました。第3セットは8-9でJKDが勝利し、なんと1勝1敗1分け、そして総得点も26-26で同点となり、エクストラセットによるサドンデスで勝負を決することになりました。この日1日の最後の試合でこんなドラマが待っていたとは、誰も想像がつきませんでした。
サドンデスは強引にゴールをねじ込んだきっとすきが勝利を収めました。歓喜のきっとすきと、膝から崩れ落ちるJKD。
【結果】
優勝:ドローンムーブ天草
「参加したころは負け続けて悔しかったんですけど、2回目の大会は勝てました。こうして優勝できていろんな人と仲良くなっていろんなお話ができるのも嬉しい。『ドローンは人と人を繋ぐ』みたいな。ドローンを始めて良かったと思っています」
第2位:きっとすき
「ドローンサッカーの創成期から携わせていただいて、これからもこのスポーツを広めていきたいという気持ちがあります。ありがとうございました」
第3位:JKD
「1年生で初めて出場して、ここまでできたのは先輩方の支えがあってのこと。3位は正直とても悔しいですが、この先の大会でいつか優勝できるように、そして先輩たちが僕たちに残してくれたものを引き継いでいけるようにこれから頑張っていきます」
中崎理事
「皆さんがこの競技を通じて『自身が成長できている』と聞いて、これは私のエネルギーになります。ドローンサッカーをこらからますます発展させていきます。先ほど『ドローンムーブの時代がやってきた』と言いましたが、これからもっともっと強いチームが出てきます。ドローンムーブはうかうかしていられませんよ。でもこれが世界への道に通じます。私たち日本ドローンサッカー連盟は、真面目にW杯に向けて頑張っていきます」
※おまけ
大分県のドローンサッカー界を引っ張ってくれた情報科学高校ドローンサッカー部の3年生。この大会を持って引退します。これまでの大分でのドローンサッカー振興に対する功績を讃えて、(株)オートバックスセブンから花束を授与しました。オートバックスセブンは2020年から情報科学高校内に事務所を構え、授業支援やドローンサッカーの指導を行っています。
部活を指導したオートバックスセブン・柳川詩帆さん
「部活の指導をさせていただいてありがとうございました。こうした大会の時に他のチームと積極的に交流を図って、大分県や、ひいては日本中にドローンサッカーの輪を広げてくれました。みんなの頑張りがあって、今年は情報科学高校にたくさんの新入部員が入り、こうして結果を出してくれました。3年間お疲れ様でした」
山口キャプテン「みんなに教えるというよりは自分が上手くならなきゃと思って練習してました。それをみんなが見て強くなればいいなと思っていました。もう卒業して悔いはありません。今まで部長として頑張ってこられたのはみんなのおかげ。自分が強いんじゃない。相手のいいところが認められるみんなの強さのおかげです。これからも他の人のいいところはしっかり吸収して、そして自分の悪いところは認めて乗り越えていくことを繰り返して個人としてもチームとしても強くなっていってください」
岡選手、東島選手、そして山口キャプテン、お疲れさまでした!